オフィススペースには、日常業務に使用されるメインの執務エリア、会議室、受付エリア、およびそれらを支える付帯設備が含まれます。各エリアの配分は、企業の人員数、業務要件、賃借する床面積、そして将来の事業計画を反映したものであることが求められます。
完全なオープンプランのオフィスは、機密情報を日常的に扱う部門には適さない場合があります。反対に、複数の個室に区切ったレイアウトでは、頻繁に連携が必要なチーム間のコミュニケーションが妨げられるおそれがあります。そのため、物件を選定して内装設計に進む前に、自社の働き方のモデルを明確にしておく必要があります。

オフィススペースとは
オフィススペースとは、企業が業務、マネジメント、会議、顧客対応、社内運営のために使用するエリア全体を指します。一般的には、次の3つの主要なグループで構成されます。
- 従業員や各部門のための執務エリア。
- 会議室、役員室、来客用応接室などの機能エリア。
- 受付カウンター、パントリー、収納室、廊下、ちょっとした休憩スペースなどの付帯エリア。
オフィスの構成は、企業の運営モデルによって異なります。テクノロジー企業では協働エリアや小規模な会議室が重視される一方、金融・法務・コンサルティング企業では、プライバシーを保つためにより多くの個室が必要となる傾向があります。
賃借する床面積もレイアウトに直接影響します。小規模なオフィスでは、パントリーを共用スペースと兼ねたり、多目的室が複数の個別の機能室を代替したりすることもあります。
賃貸前にオフィススペースの計画を立てておくべき理由
レイアウト案は、物件の内見の段階から検討しておくべきです。賃料が適切であっても、柱が多すぎる、使いにくい角がある、設備コア(技術スペース)が大きいといった理由から、業務要件を満たせないフロアもあります。
実際に使える面積を把握する
見積書に記載された面積だけでは、実際に何席設置できるかはわかりません。フロアの形状、柱の位置、エレベーターコアと執務エリアとの距離、そして空間を部屋に区切れるかどうかを確認する必要があります。
たとえば、同じ500 m²の物件が2つあっても、設置できる席数は異なる場合があります。柱の少ない正方形のフロアプレートは、細長いフロアや使えない角が多いフロアに比べて、一般的に計画が立てやすくなります。
実際の業務に基づいてスペースを配分する
部門ごとに必要なスペースは異なります。営業チームには短い打ち合わせ用のエリアや電話ブースが必要な一方、経理や法務の部門は、一般的により静かな執務環境を必要とします。
企業は、人員数、出社率、会議室の利用頻度を記録しておくべきです。これらの数値は、参考画像や一般的なデザインのトレンドよりも、スペース配分の確かな根拠となります。
内装工事費をコントロールする
個室を多く含むレイアウトでは、一般的に、パーティション、ドア、空調の配管・配分、防火設備、電気工事への追加支出が必要になります。内装付き(フィッテッド)オフィスが適しているのは、既存のレイアウトが入居企業の要件にかなり近い場合に限られます。
賃貸契約の締結後にレイアウト全体を変更すると、内装工事の期間が延び、初期費用が増加するおそれがあります。そのため、賃貸条件を比較する際には、現況をどこまで活用できるかを評価しておくべきです。
将来の拡張を見込む
必要な席数は、内見時点の人員数だけを基準にすべきではありません。採用計画、リモートワークの比率、想定される賃貸期間も考慮する必要があります。
3年から5年の賃貸契約の場合、現在の要件に合わせすぎたレイアウトは、契約満了前に手狭になる可能性があります。適切な計画としては、フレキシブルなエリア、共有デスク、将来の成長に備えて確保しておくスペースを盛り込む方法があります。
オフィススペースの主なエリア
オフィスは一般的に、主要な執務エリアと付帯スペースに分けられます。それぞれに割り当てる割合は、すべての企業に同じ標準的な計算式を当てはめるのではなく、実際の業務に基づいて決めるべきです。

従業員の執務エリア
このエリアは通常、オフィスの中で最も大きな割合を占めます。ベンチ型デスク、チーム単位のワークステーション群、個人用デスク、またはこれらを組み合わせた配置が用いられます。
デスクの列と列の間隔は、従業員が移動したり椅子を引いたりできる十分な広さが必要です。窓際の席は一般的に自然光を多く受けますが、日射の方向や熱の影響の程度も評価しておく必要があります。
日常的にやり取りの多い部署は、互いに近い位置に配置するのが望ましいです。高い集中力が求められるチームは、パントリー、大会議室、メインエントランスから離れた場所に配置するとよいでしょう。
会議室
会議室の数と広さは、通常の会議の参加人数に応じて決めるべきです。部門全体の会議用に大きな部屋を1室、4〜6名のグループ用に小さな部屋を複数用意する、といった構成が考えられます。
会議室には、プレゼンテーション機器、電源コンセント、ネットワーク接続、そして適切な遮音性能を備えておく必要があります。オンライン会議で頻繁に使用する部屋では、照明、画面の配置、音質も適切に整える必要があります。
役員室
役員室は、完全な個室、ガラスパーティションによる区切り、または一般の執務エリア内への配置のいずれも可能です。どれが適切かは、機密保持の要件、来客対応の頻度、そして企業のマネジメントスタイルによって決まります。
ガラスパーティションは視認性を保ち、オフィス全体に自然光を通します。ただし、個別の話し合いを定期的に行う場合は、適切な防音対策が引き続き必要です。
受付・待合エリア
受付エリアは、顧客やビジネスパートナーがオフィスに到着したときの最初の接点です。その広さは、装飾目的だけでフロアの大部分を占めるのではなく、実際の来訪者数に見合ったものにすべきです。
来訪者が少ない企業では、コンパクトな受付カウンターと小さな待合スペースを組み合わせる方法もあります。顧客との打ち合わせが頻繁にある企業では、受付機能と社内の執務エリアを明確に分ける必要があります。
パントリー
パントリーには通常、収納棚、シンク、冷蔵庫、飲料用機器、ダイニングテーブルが備えられます。床面積が限られたオフィスでは、ちょっとした休憩エリアや、インフォーマルなディスカッションスペースと兼ねることもあります。
パントリーは、静かな環境が必要な部署の妨げになる場所に配置すべきではありません。給水、排水、換気、清掃に関する要件も、レイアウトを確定する前に確認しておく必要があります。
来客用応接室
来客用応接室は、大きな会議室までは必要ないものの、話し合いのためのプライベートな空間が必要な企業に適しています。来訪者が社内の執務エリアを通らずに済むよう、一般的には受付エリアの近くに設けられます。
来訪の頻度が低い場合は、来客対応専用の常設エリアを設けるよりも、多目的室のほうが現実的なことがあります。
収納エリア
収納に関する要件は業種によって異なります。大量の紙の書類、資材、製品サンプルを保管する企業は、当初の計画に収納スペースを含めておくべきです。
十分な収納が確保されていないと、書類や機器が通路沿いやワークステーションの周囲に置かれがちです。これはオフィスの業務に支障をきたし、実際に使える面積を減らしてしまいます。
オフィススペースの代表的な10のレイアウト
以下の各レイアウトは、それぞれ異なる業務要件に対応しています。企業は、オフィス全体に単一のモデルを適用するのではなく、同じ物件内で複数の配置を組み合わせることもできます。
1. オープンプランオフィス
オープンプランオフィスでは、個室や固定式パーティションの使用を抑えます。従業員は一般的に、チームや部門ごとに配置されたワークステーション群で業務を行います。
このレイアウトは、頻繁なコミュニケーションが必要な業務に適しており、席数も比較的容易に調整できます。ただし、継続的な集中力を必要とする業務の従業員には、騒音や人の動きが影響する場合があります。
通話、機密性のある話し合い、集中作業のために、電話ブース、小規模な会議室、静音ゾーンを追加することもできます。
2. 従来型オフィス
従来型オフィスでは、フロアを部門、役員、または特定の機能ごとに個別の部屋に区切ります。パーティションによって、各チームに割り当てられたエリアが明確に定められます。
このモデルは、部門構成が安定している企業や、機密情報を日常的に扱う企業に適しています。ただし、チームの規模が変わると、パーティションの撤去や移設が必要になる場合があります。
個室の数が多いと、ドア、空調の配分、個別の設備システムへの需要も増えます。
3. コワーキングスペース
コワーキングスペースは、複数の個人や企業に対して、ワークステーション、会議室、共用設備を提供します。利用者は、フレキシブルデスク、専用デスク、または個室オフィスから選択できます。
このモデルは、新たに設立された企業、プロジェクトチーム、短期間で業務を開始する必要がある企業に適しています。基本的な家具やインフラは、通常、運営事業者が提供します。
企業は、会議室の利用条件、営業時間、住所登録の条件、そして席数を増減させる際の手続きを確認しておくべきです。
4. クリエイティブオフィス
クリエイティブオフィスでは、柔軟なゾーニング、個性的な家具、複数のインフォーマルなディスカッションエリアが多用されます。このモデルは、デザイン、メディア、テクノロジー、コンテンツ制作の企業でよく見られます。
創造性は、色や装飾素材だけで表現すべきではありません。従業員が、個人作業、グループでの話し合い、アイデアの発表の間をスムーズに移動できるレイアウトである必要があります。
オープンなエリアが多すぎて静かなゾーンが不足しているオフィスは、長時間の集中が必要な業務には適さない場合があります。
5. グリーンオフィス
グリーンオフィスでは、自然光、植物、適切な素材、省エネルギーのソリューションが重視されます。ワークステーションは採光の恩恵を受けつつ、画面の映り込みや窓際の過度な熱にさらされないようにする必要があります。
植物は、採光条件、手入れの要件、配置場所に応じて選ぶべきです。動線沿いや小規模なオフィス内に植物を置きすぎると、移動の妨げになる場合があります。
インテリアデザインに加えて、企業は空調システム、室内の空気質、運用基準、そして建物の技術的な特性も確認すべきです。
6. フレキシブルオフィス
フレキシブルオフィスでは、従業員がその日の業務に応じて作業スペースを選べます。共有デスク、会議室、集中エリア、電話ブース、コラボレーションゾーンなどが含まれる場合があります。
このモデルは、ハイブリッドワークを採用している企業や、日ごとの出社人数が変動する企業に適しています。出社スケジュールが適切に管理されていれば、デスクの数が総人員数と一致している必要はありません。
出社が集中する日に席が不足しないよう、予約システムや利用ルールを定めることが必要です。
7. テーマ型オフィス
テーマ型オフィスでは、素材、色、家具、ビジュアル要素に中心となるコンセプトを適用します。テーマは、企業の製品、歴史、または業界に関連づけることができます。
デザインは、想定される入居期間を踏まえたものにすべきです。カスタマイズ性の高い要素は内装工事費を押し上げる可能性があり、移転時の再利用も難しくなります。
ブランディング要素は、オフィス全体に広く施すよりも、受付エリア、応接室、共用スペースに集中させたほうが、一般的に効果的です。
8. ミニマリストオフィス
ミニマリストオフィスでは、家具の数を絞り、シンプルな形状と控えめな装飾を用います。すっきりとしたレイアウトを維持するには、書類、機器、ケーブルを整理して収納する仕組みが必要です。
このモデルは、家具の数量を抑え、容易に調整できるフロアプランを維持したい企業に適しています。ただし、ミニマリズムは、必要な機能を取り除いたり、ワークステーションの寸法を実用上必要な水準以下に縮小したりすることを意味するものではありません。
素材の品質、収納容量、防音対策については、引き続き細部まで検討する必要があります。
9. 多目的オフィス
多目的オフィスでは、ひとつのエリアが時間帯に応じて複数の機能を果たします。大会議室を、研修、社内イベント、プロジェクト作業にも使用するといった形です。
可動式の家具、調整可能なパーティション、柔軟に使える機器は、このモデルの一般的な構成要素です。スペースが限られていながら、定期的に大人数を受け入れる必要があるオフィスに適しています。
部屋の用途を切り替える際に機器をどこに保管するか、またスペースを再配置するのにどれくらいの時間が必要かを、あらかじめ決めておくべきです。
10. スマートオフィス
スマートオフィスでは、会議室の予約、入退室管理、照明、空調、機器管理にテクノロジーを統合します。スペースの利用状況データを収集し、ワークステーションや会議室の数を調整する際の参考にすることもできます。
導入するテクノロジーの水準は、予算と建物のインフラによって決まります。システムによっては、設計の段階で電力供給、社内ネットワーク、またはビル管理システムと接続しておく必要があります。
企業は、機器を選定する前に、解決すべき運用上の課題を明確にしておくべきです。そうすることで、ほとんど使われない多数の機能への投資を避けることができます。
オフィスレイアウトを計画する際に確認すべき要素
設計案は、物件の技術的な状態と照らし合わせて確認すべきです。図面上では適切に見えるレイアウトでも、建物の技術要件を満たさなければ実現できない場合があります。

人員数と働き方のモデル
企業は、正社員の人数、定期的にリモートで勤務する人数、そして賃貸期間中の採用計画を記録しておくべきです。会議室、ワークステーション、収納ユニットの数は、これらの数値に基づいて決めるべきです。
ハイブリッド型の場合、週の平均出社率だけでなく、出社が最も多くなる日を基準に計画する必要があります。
フロアの形状とスペース効率
正方形または長方形のフロアは、角が多く斜めになっている物件に比べて、一般的に区切りやすくなります。柱の位置、エレベーターコア、トイレ、設備シャフトは、動線や設置できるワークステーションの数に影響します。
物件の内見時には、企業は平面図を請求し、レイアウトを作成する前に主要なエリアの寸法を確認すべきです。
自然光と日射
自然光は、日常的に使用するエリアに優先して割り当てるべきです。収納室、印刷エリア、利用頻度の低い会議室は、物件の奥側に配置してもよいでしょう。
強い日差しを受けるエリアには、まぶしさや熱を軽減するために、ブラインド、適切なガラス、またはワークステーションの配置調整が必要です。
騒音と遮音
会議室、電話ブース、役員室には、求められるプライバシーの水準に応じた防音対策が必要です。パントリー、印刷エリア、出入口は、静かな環境を必要とするチームの隣に配置すべきではありません。
ガラスパーティションは開放的な印象を生み出しますが、それだけで十分な遮音性が得られるわけではありません。パーティションの構造、ドア、天井をあわせて確認すべきです。
空調と換気
個室を増やすと、物件全体での空気の流れ方が変わる場合があります。各エリアには、十分な吹出口と適切な温度管理の方法が必要です。
セントラル空調を採用しているビルでは、標準の運転時間と、時間外に使用する場合の条件もあわせて確認すべきです。
電気・ネットワーク設備
ワークステーションには、動線上にケーブルがむき出しになることなく、電源コンセントとネットワーク接続を利用できる状態が必要です。会議室、印刷エリア、特殊な機器については、個別に電気負荷の算定が必要になる場合があります。
物件によっては、電気接続の位置を変更しやすいフリーアクセスフロアを備えています。フリーアクセスフロアのないオフィスでは、ケーブルをカーペットの下や天井裏に敷設する必要がある場合があります。
ビルの内装工事に関する規則
オフィスビルには一般的に、工事可能な時間帯、資材の搬入、防火、施工業者の登録などに関する独自の規則があります。これらの要件は、オフィスの引き渡しスケジュールに影響します。
企業は、引き渡し時の状態、変更が認められる範囲、そして賃貸期間終了前の原状回復の責任について確認しておくべきです。
適切なオフィスモデルの選び方
企業は、完全なオープンオフィスと完全な個室レイアウトのどちらかを選ぶ必要はありません。現代のオフィスの多くは、オープンな執務エリアと、会議室、集中室、電話ブースを組み合わせています。
レイアウトを作成する前に、企業は次の4つの問いに答えておくべきです。
- 出社が最も多い日に、何人の従業員がオフィスにいるか。
- 日常的にやり取りが必要な部署はどこか。
- プライバシーや遮音が必要な業務はどれか。
- 賃貸期間中に、企業の人員数はどのように変化する見込みか。
これらの答えから、必要な床面積、共用スペースの割合、機能室の数が決まります。また、1平方メートルあたりの賃料だけでなく、スペース効率に基づいて物件を比較するための根拠にもなります。
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