オフィスレイアウトは、色や机・椅子、インテリアのスタイルを選ぶことから始まるものではありません。面積を区分けする前に、企業は従業員数、業務の特性、会議の頻度、成長計画を明確にする必要があります。
デザインが美しいフロアであっても、会議室が不足していたり、動線が狭くなっていたり、集中して作業するエリアが騒音の発生しやすい場所の近くにあったりすると、不便が生じることがあります。本記事では、検討すべき要素と、利用ニーズ別の代表的なオフィスレイアウトについて解説します。

なぜ賃貸前にオフィスレイアウトを決めておく必要があるのか
賃貸面積が同じでも、フロアの形状、柱の位置、設備システム、機能エリアの分け方によって、座席数やスペースの活用度は異なる場合があります。
企業が募集されている総面積だけを基準にすると、実際のレイアウト案では必要な人数を収容できない可能性があります。フロアの角、廊下、柱の多いエリアなどの使いにくい面積も賃貸面積に含まれますが、すべての場所にデスクを置けるわけではありません。
当初のレイアウト案は、家具費用、会議室の数、電気設備、空調、工事期間を見積もる際の根拠にもなります。契約後に設計を変更すると、予算の調整やオフィスの稼働開始時期の変更を伴うことが多くなります。
オフィスレイアウトの前に確認すべき要素
企業は、利用要件をフロアの実際の条件と照らし合わせる必要があります。以下の各要素は、賃貸面積とスペースの区分け案に直接影響します。
従業員数と成長計画
座席数は、オフィスを探している時点の人数だけで算出すべきではありません。賃貸期間中の採用予定人数を見込み、どの部署が日常的にオフィスで働くのかを把握する必要があります。
ハイブリッドな働き方の場合、固定席の数は総従業員数より少なくなることがあります。ただし、多くの社員がデスクを共有するなら、フレキシブルな作業エリア、個人用ロッカー、座席予約システムを追加する必要があります。
1〜2年以内の拡張を予定している場合は、家具システム全体を入れ替えなくても座席に転用できるエリアをフロアに確保しておくことが望ましいです。

部署ごとの業務特性
営業、コンサルティング、カスタマーケアの部署は、通話や打ち合わせの頻度が高い傾向があります。これらの席は、集中作業エリアから離して配置するか、音を抑える対策を講じる必要があります。
経理、法務、人事の部署は社内文書を扱うことが多くあります。閉じた空間、保管用キャビネット、出入りを管理できる仕組みをレイアウト案に盛り込む必要があります。
プロジェクト、デザイン、テクノロジーのチームには、多数の個室に分けるよりも、クラスター型のデスク配置と簡易ディスカッションエリアのほうが適していることが多くあります。
会議と来客対応の頻度
会議室の数は、人数規模だけでなく、実際の利用履歴に基づいて決める必要があります。従業員30名でも顧客対応が頻繁な企業は、主に社内でやり取りする従業員50名の企業よりも多くの会議室を必要とする場合があります。
大会議室のほかに、2〜4名用の小会議室や電話ブースを設けることもできます。この分け方により、短い会議が大会議室を丸ごと占有してしまう状況を抑えられます。
来客エリアは受付の近くに置き、社内の執務スペースとは分けるのが望ましいです。来訪者が従業員エリア全体を通り抜ける必要がなくなります。
フロアの形状と柱の位置
正方形または長方形のフロアは、デスクの配置や部屋の区分けがしやすい傾向があります。角の多いフロア、大きな柱がある場合、奥行きが狭い場合は、実際の使用可能面積が減少することがあります。
エレベーターコア、トイレ、非常口の位置も動線に影響します。家具が避難経路をふさいだり、消防設備を隠したりしてはなりません。
フロアを選ぶ前に、企業はテストフィット(test-fit)図面を作成し、座席数と配置可能な機能エリアを確認することが望ましいです。
採光、空調、設備システム
デスクは自然光の入るエリアを優先し、会議室、倉庫、補助エリアはビルのコア付近に配置することができます。ただし、直射日光が強すぎる場合は、カーテンや適切な素材で対処する必要があります。
個室を追加すると、空調の気流や換気システムに影響する場合があります。新しいエリアごとに、給気・還気の能力と温度管理を確認する必要があります。
コンセント、インターネット回線、プリンター、オフィス機器の位置は、利用計画図に沿って決める必要があります。内装の仕上げ後に配置を決めると、電気配線をやり直したり、露出配線を使ったりすることになる可能性があります。
代表的なオフィスレイアウトの種類
すべての企業に合う単一のモデルはありません。レイアウト案は、業務の性質、セキュリティの水準、従業員のオフィス利用の仕方に応じて選ぶ必要があります。
オープンスペースオフィス
オープンスペースは、個室や固定間仕切りを少なくした共有の作業エリアを使います。デスクは通常、部署やプロジェクトチームごとにまとめて配置されます。
このモデルは、頻繁な意思疎通が必要で、座席数を変更できる柔軟性を維持したい企業に適しています。廊下や間仕切り壁に充てる面積も、個室が多いモデルに比べて少なくなります。
主な欠点は騒音とプライバシーです。静けさが必要な業務に対応するため、小会議室、電話ブース、集中エリアを追加で設ける必要があります。
個室に分けたオフィス
フロアを、部署、管理職の階層、利用機能ごとに複数の個室に区分けします。各エリアで、騒音や情報をより適切に管理できます。
このレイアウトは、法律事務所、金融、コンサルティング、または機密文書を多く扱う企業に適していることが多いです。個室は、オンライン会議や来客対応が頻繁な部署にも向いています。
壁やドアの数が増えると工事費が上がり、レイアウトを変更しにくくなります。フロアを細かく区切る場合は、空調および消防設備を確認する必要があります。
オープンスペースと個室を組み合わせたレイアウト
ハイブリッド型は、面積の大部分を共有の作業エリアに充てつつ、会議室、管理職用の部屋、集中エリアを別に設けます。
さまざまな業務グループを持つ企業に適した案です。意思疎通が必要な部署はクラスターごとに配置し、会議や機密業務は個室で行います。
オープンエリアと個室の比率は、利用ニーズに基づいて決める必要があります。利用頻度の低い会議室を作りすぎると、座席数が減り、初期投資費用が増えます。
フリーアドレス型
従業員は固定のデスクを使わず、勤務予定に応じて席を選びます。このモデルは、オフィスとリモートを組み合わせた勤務ポリシーとセットになることが多くあります。
企業は、座席予約の手順を整備し、個人用ロッカーを用意し、総従業員数に対するデスク数の比率を決める必要があります。繁忙日のニーズよりデスクが少ないと、従業員が適切な席を見つけられないことがあります。
フリーアドレスの作業エリアには、個人席、グループ席、集中ブース、短時間の打ち合わせエリアなど、複数の種類の座席も必要です。
活動エリア別のレイアウト
オフィスを部署ごとに区分けするのではなく、集中作業、チーム会議、通話、来客対応、短い休憩といった活動ごとにフロアを構成します。
従業員は、その時々の業務に基づいてエリアを選びます。たとえば、午前は共有デスクで作業し、昼は電話ブースを使い、チームワークの際はディスカッションエリアに移る、といった使い方ができます。
このモデルには、明確な利用ルールとスペース管理の体制が必要です。各エリアは、家具、素材、またはプライバシーの度合いの違いによって識別できるようにしなければなりません。
オフィス内の機能エリアの配分方法
全体のモデルを選んだ後、企業は各機能に充てる面積を決める必要があります。配分比率は、固定の計算式を当てはめるのではなく、実際の活動内容によって決まります。
執務エリア
デスクは、通路がふさがれず、従業員が椅子やキャビネット、個人用機器を使える十分なスペースを確保できるように配置する必要があります。
頻繁に連携する部署は近くに配置するべきです。通話の多い部署は、集中作業のグループとは適切な距離を取る必要があります。
窓際は利用頻度の高いエリアを優先すべきですが、日差しの向きとモニターへの映り込みを確認する必要があります。
会議室とコミュニケーションエリア
大会議室は、チーム全体の会議、研修、複数の顧客との打ち合わせに適しています。小会議室は、社内の打ち合わせ、面接、オンライン会議に使われます。
すべての打ち合わせに完全な個室が必要なわけではありません。クイックミーティング用のテーブルやソフトシーティングのエリアで、メインの会議室を使わずに短い打ち合わせを済ませることができます。
利用者数が多い場合や、複数の部署が同じエリアを共有する場合は、会議室予約システムの導入を検討する必要があります。
受付と来客エリア
受付は入口から見える位置に置き、会議室へ直接アクセスできる動線にするのが望ましいです。このレイアウトにより、来訪者が社内の執務エリアへ入り込むことを抑えられます。
来客エリアの面積は、来訪者の通常の人数に基づいて決める必要があります。対面の会議をあまり開かない企業であれば、大きなロビーを設ける必要は必ずしもありません。
ロゴやブランドアイデンティティは、受付カウンター、メインの壁面、または会議室に配置できます。多くの面に分散させるのではなく、動線に合わせて位置を統一する必要があります。
パントリーと休憩エリア
パントリーは、騒音や食べ物のにおいを抑えるため、執務エリアから分ける必要があります。ビルの給排水の位置が、このエリアを配置できるかどうかに直接影響します。
パントリーが昼食の場も兼ねる場合、企業は座席数とピーク時の利用時間帯を見込む必要があります。スペースが狭すぎると、従業員が自席で食事をせざるを得なくなる場合があります。
休憩エリアは広い面積を占める必要はありませんが、機能を明確に定め、通路に椅子をばらばらに置くことは避けるべきです。
倉庫と設備エリア
書類保管庫、サーバールーム、プリンター、機器キャビネットは、面積を算出する段階で見落とされがちです。専用のエリアがないと、これらの機器が廊下に置かれたり、執務スペースを占めたりしやすくなります。
サーバールームでは、電源、空調、常時稼働の要件を確認する必要があります。書類保管庫は、実際の保管量とアクセス頻度に合わせて配置する必要があります。
オフィスレイアウトでよくある失敗
一部の問題は、企業がオフィスを使い始めてからようやく表面化します。フロアを探す段階から見直しておけば、工事後の高くつく変更を抑えられます。

デスクの数だけで計算する
オフィスの面積には、会議室、通路、パントリー、倉庫、受付、設備エリアも含まれます。面積のすべてを座席に換算してしまうと、実際のレイアウト案では補助スペースが不足することがよくあります。
賃貸が必要な面積を決める前に、企業は機能エリアの一覧を漏れなく作成する必要があります。
個室を作りすぎる
個室はセキュリティを高めますが、間仕切り、ドア、廊下に面積を取られます。また、従業員数や部署構成が変動したときに、フロアを変更しにくくなります。
それぞれの部屋は、具体的な利用ニーズと結びついている必要があります。短い打ち合わせは、ブースや小さな会議テーブルで対応できます。
騒音を考慮しない
プリンター、パントリー、通話エリア、会議室は、騒音を発生させやすい場所です。これらの機能が集中作業エリアの近くにあると、運用開始後に防音材を追加したり、位置を変更したりしなければなりません。
レイアウト図では、最初から騒がしいエリアと静かなエリアを分けておくのが望ましいです。
人員の変動に備えない
現在の人数にちょうど足りるだけのフロアは、採用を増やすとすぐに手狭になります。逆に、広すぎる面積を借りると、使っていない期間の賃料と運営費が増えます。
企業は、人員計画を賃貸期間および同じビル内での拡張の可能性と照らし合わせる必要があります。
テストフィットを確認する前にフロアを選ぶ
見積書に記載された面積の情報だけでは、レイアウトの可能性は十分に反映されません。大きくても形状が複雑なフロアは、整った正方形の小さなフロアよりも座席数が少なくなることがあります。
テストフィット図面を見れば、賃貸を決める前に、配置可能なデスク、会議室、機能エリアの数を把握できます。
フロア選びとオフィスレイアウトのプロセス
企業は、次のステップで探索と設計を進めることができます。
- 現在の従業員数と、賃貸期間中の成長計画を把握します。
- 会議室、個室、倉庫、パントリー、その他必要な機能エリアを洗い出します。
- 働き方のモデルに応じて、必要面積の概算を立てます。
- フロアを現地調査し、柱、窓、エレベーターコア、設備システムの位置を確認します。
- 適切と思われる案についてテストフィットを実施します。
- 座席数、賃料、工事費、拡張の可能性を比較します。
- 賃貸条件が確定した後に、詳細設計を完成させます。
RSQUARE Vietnamは、フロアの探索、案の比較、企業の利用ニーズに合わせたレイアウト可否の確認を担当します。ホーチミン市とハノイの空き面積リスト、賃料、またはフロアのご提案をご希望の場合は、従業員数、希望エリア、オフィス移転の時期をお知らせください。