オフィスの内装設計・内装工事(フィットアウト)は、通常、企業が適切なオフィススペースを決定した後に始まります。その時点から、レイアウト、運用上の要件、ビルの設備システム、移転スケジュールを調整し、計画どおりにオフィスを完成させて稼働できるようにする必要があります。
プロジェクト全体は、一般的に7つの設計ステップと8つの施工ステップという2つの主要フェーズで構成されます。各フェーズでは、現地調査、スペースプランニング、3Dビジュアライゼーションから、技術図書の作成、家具の製作、設置、試験、引き渡しまで、それぞれ異なる要件に対応します。
プロセス全体を理解することで、企業は重要な承認ポイントを把握し、関係者間の責任範囲を明確にし、コストやスケジュールに影響しうる変更を事前に想定できるようになります。

オフィス内装設計・内装工事プロセスの概要
オフィスの内装設計・内装工事のプロセスは、大きく6つの段階に分けられます。
- 要件を整理し、既存スペースを調査する。
- 機能的なスペースプランを策定する。
- 3Dデザインと技術図書を作成する。
- 現場、資材、施工計画を準備する。
- 設備工事を実施し、内装要素を設置する。
- 清掃、検査、試験を行い、完成したオフィスを引き渡す。
実際には、これらの段階が必ずしも個別に進められるわけではありません。例えば、造作家具を工場で製作している間に、施工チームが電気設備、空調、天井、床、防火設備などの工事を同時に進めることがあります。
そのため、プロジェクトのスケジュールは、単一の全体的な開始日・完了日だけに頼るのではなく、各工事パッケージ間の依存関係に基づいて策定する必要があります。
オフィス内装設計の7ステップ
設計フェーズでは、オフィスをどのように使うか、スペースをどう配置するか、施工開始前にどの設備システムを調整すべきかを決定します。
ステップ1:企業のプロジェクト要件を収集する
設計チームは、レイアウトを策定する前に、まず企業がオフィスをどのように使用する予定なのかを理解する必要があります。
一般的に確認する情報は次のとおりです。
- オフィスの広さと現況。
- 現在の人員数と今後の増員計画。
- 部門構成。
- 会議室、個室、機能エリアの数。
- 受付、パントリー、コラボレーションエリア、共用スペースに関する要望。
- 希望するデザインスタイル。
- ブランディングに関する要件。
- 概算予算。
- オフィスの開設目標日。
- 特定の技術的・運用上の要件。
例えば、従業員数が同じ100名の2社であっても、一方は小規模な会議室を複数必要とし、もう一方はよりオープンなワークスペースを好むことがあります。床面積が似ていても、必ずしも同じレイアウトになるとは限りません。
こうした要件を最初に明確に定義するほど、後工程で大幅な修正が必要になる可能性は低くなります。
ステップ2:現地調査を行い、現況図書を作成する
プロジェクト要件を把握したら、設計チームは現地調査を実施します。
調査では通常、次の項目を確認します。
- 実際の床寸法。
- 柱およびビルコアの位置。
- 天井高と床レベル。
- ドア、窓、ファサードの状態。
- 電気および給排水の接続ポイント。
- 空調設備。
- 防火設備。
- 非常口。
- 変更できない設備エリア。
商業ビル内のオフィスの場合、企業はビルの内装工事ガイドラインや工事規則も確認する必要があります。
図面上では実現可能に見えるレイアウトでも、スプリンクラーヘッド、非常口、既存の空調設備と干渉することがあります。こうした干渉は、技術設計の段階で設計変更が必要になる原因となります。
調査結果は現況図面にまとめられ、これが以降の設計段階の基礎となります。
ステップ3:コンセプトとデザインの方向性を策定する
収集した情報をもとに、設計チームはオフィス全体のコンセプトを策定します。
主な検討事項は次のとおりです。
- スペースの構成。
- デザインの言語。
- メインカラーパレット。
- 主要な素材。
- ブランドアイデンティティ。
- エリア間のプライバシーレベル。
- 人間工学的な基準。
- 照明計画。
- 緑化およびバイオフィリックな要素。
デザインコンセプトは、単なる美観上の判断として扱うべきではありません。企業の実際の働き方を反映したものであるべきです。
例えば、社外の来訪者が頻繁に訪れる企業では、受付、会議室、従業員専用エリアの間に明確な動線が必要です。プロジェクト型の組織では、コラボレーションスペースの割合を高めることが求められる場合があります。
ステップ4:2Dスペースプランを作成する
2Dの平面図は、詳細設計に入る前に、スペースをどのように配分するかを定めるものです。
通常、次の内容が含まれます。
- 執務エリア。
- 会議室。
- 役員室。
- 受付。
- パントリー。
- 収納エリア。
- コラボレーションスペース。
- 動線。
- 間仕切り。
- 出入口ドア。
- 非常口。
- 家具および主要機器の配置。
この段階では、執務席の数だけでなく、動線、作業スペースの余裕、将来の拡張、部門間の関係性も検討する必要があります。
この段階で機能的なレイアウトが適切に整理されていないと、プロジェクトが3Dデザインや技術図書の段階に進んだ後の修正に、より多くの時間がかかります。
ステップ5:3Dデザインを作成する
2Dレイアウトが承認されたら、デザインを3Dビジュアライゼーションへと発展させます。
これにより、企業は次の点を把握しやすくなります。
- 完成後のオフィスの見え方。
- 色。
- 素材。
- 家具のスタイル。
- 照明。
- 間仕切り。
- 天井の仕上げ。
- ブランドアイデンティティの要素。
この段階は、予算に影響しうるデザイン上の選択を見直すのにも適したタイミングです。
例えば、仕上げ材や天井システムを変更すると、コスト、納期、施工方法に影響が及ぶ可能性があります。
そのため、主要な事項は、プロジェクトが技術図書の作成に進む前に合意しておくべきです。
ステップ6:施工図書を作成する
3Dレンダリングはオフィスの完成イメージを示すものですが、施工業者が施工するには不十分です。
施工図書は、承認されたデザインを、現場で実行可能な技術情報に落とし込んだものです。
プロジェクトによって異なりますが、図書には次のものが含まれる場合があります。
- 家具配置図。
- 天井伏図。
- 床仕上げ図。
- 間仕切り図。
- 造作詳細図。
- 電気設備。
- 照明。
- 空調・換気(HVAC)。
- 給排水設備。
- データ・ネットワーク設備。
- 防火設備。
- 仕上げ表(マテリアルスケジュール)。
- 関連する技術詳細。
一部の設備システムについては、設置前に専門コンサルタントやビル管理会社による確認または承認が必要となる場合もあります。
ステップ7:最終設計図書を承認し、発行する
施工開始前に、企業は最終版の設計図書を確認し、承認する必要があります。
確認すべき主な項目は次のとおりです。
- 最終的なスペースプラン。
- 承認済みの素材。
- 家具の仕様。
- 設備システム。
- ブランドアイデンティティの要素。
- 各関係者の作業範囲。
- 当初の提案からの変更点。
承認された図面一式を一つに定めておくことが重要です。業者ごとに異なるバージョンを使用していると、調整ミスのリスクが高まります。
図書が承認されると、プロジェクトは施工フェーズに入ります。
オフィス内装工事の8ステップ
設計フェーズがオフィスをどのように造るかを決めるものだとすれば、施工フェーズは、それらの図面と仕様を完成したワークスペースへと形にするものです。

ステップ1:施工図書と作業計画を確定する
現場作業を始める前に、すべての関係者が次の事項を確認する必要があります。
- 技術図面。
- 作業範囲。
- 仕上げ表(マテリアルスケジュール)。
- 施工スケジュール。
- 工事の順序。
- 各施工業者の責任範囲。
- ビルの工事規則。
賃貸オフィスの場合、ビルによっては、施工業者、作業員、資材の現場への搬入が許可される前に、内装工事図面についてビル管理会社の承認を受ける必要があります。
企業は、この承認期間も全体の移転スケジュールに含めておくべきです。
ステップ2:工事現場を引き継ぎ、整備する
施工が承認されると、施工業者は現場を引き継ぎ、工事に向けた準備を行います。
主な作業内容は次のとおりです。
- 承認済み図面と実際の現況を照合する。
- 不要な既存部材を撤去する。
- 残っている家具や機器を移動する。
- 養生材や現場の仕切りを設置する。
- 資材置き場を定める。
- 工具および機材を整理する。
- 搬入経路を確認する。
- 安全対策を講じる。
- ビル管理会社と作業時間を調整する。
入居者のいる商業ビルでは、資材の搬入、貨物用エレベーターの使用、騒音を伴う工事が特定の時間帯に制限される場合があります。
こうした制限を事前に確認しておかないと、実際の施工スケジュールが社内計画から大きくずれる可能性があります。
ステップ3:資材サンプルを承認する
資材を大量に発注または製作する前に、企業は実物のサンプルを承認する必要があります。
対象となるものには、次のようなものがあります。
- 木材。
- 化粧板(ラミネート)。
- 塗料。
- ファブリック。
- カーペット。
- 石材。
- ガラス。
- 金属。
- 内装用金物。
レンダリングや画面上で見る色や質感は、実物の素材と異なることがあります。サンプルを承認しておくことで、製作後に外観や品質をめぐるトラブルが生じるリスクを減らせます。
納期の長い資材については、承認のタイミングがプロジェクト全体のスケジュールに直接影響することもあります。
ステップ4:造作家具を製作する
造作家具は、承認された技術図面に基づいて製作されます。
対象には、次のようなものがあります。
- 執務デスク。
- 収納キャビネット。
- 受付カウンター。
- パントリーのキャビネット。
- 造り付けの収納。
- 会議テーブル。
- 特注の装飾要素。
製作は、プロジェクト全体の工期を短縮するために、現場の施工と並行して行われることが多くあります。
納品前に、寸法と仕上がりを確認することで、現場での手直しを減らすことができます。
ステップ5:躯体関連工事および設備工事を実施する
この段階は、通常、異なる工種間で最も高度な調整が求められるステップです。
工事内容には、次のようなものがあります。
- 間仕切りの設置。
- 天井工事。
- 床工事。
- 電気設備。
- 照明。
- 給排水設備。
- 空調。
- 換気。
- データ・ネットワーク設備。
- 防火設備。
工事の順序は、施工業者間で調整する必要があります。例えば、会議室の位置をわずかに変更するだけでも、照明、スプリンクラーの位置、空調の吹出口、電源コンセント、データポイントに影響が及ぶことがあります。
このため、施工中のレイアウト変更は、通常、2Dプランニング段階での修正よりもはるかに複雑になります。
ステップ6:内装を設置し、仕上げる
主要な設備工事がほぼ完了したら、プロジェクトは仕上げの段階に入ります。
仕上げには、次のようなものがあります。
- 最終塗装。
- 壁の仕上げ。
- 床材またはカーペットの施工。
- 天井の仕上げ。
- 照明器具の取り付け。
- カーテンの取り付け。
- ガラスおよび間仕切りの設置。
- 置き家具の配置。
- 造作家具の設置。
- サインおよびブランド要素。
- グリーンおよび備品類。
この段階を通じて、位置や寸法の基準として技術図面を使い続ける必要があります。
プロジェクトチームは、正式な引き渡し前に是正できるよう、不具合や未完了の項目の記録も開始すべきです。
ステップ7:引き渡し前にオフィスを清掃・検査する
工事の完了後も、オフィス内には粉塵、工事廃材、設置時の跡が残っている場合があります。
一般的な清掃内容は次のとおりです。
- 工事の残材の撤去。
- 床の清掃。
- ガラスの清掃。
- 家具の清掃。
- 照明器具および機器の清掃。
- 隅、継ぎ目、手の届きにくい箇所の清掃。
この段階には、企業が機器や従業員を入れる前に行う、引き渡し前の最終検査も含まれるべきです。
ドアのずれ、点灯しない照明、コンセント位置の誤り、仕上げの傷などの問題は、是正のために不具合リストに記録します。
ステップ8:検査・試験を行い、オフィスを引き渡す
最終段階では、企業と施工業者が、承認された図書に照らして完成したオフィスを検査します。
検査の対象には、次のようなものがあります。
- 仕上げの品質。
- 家具の数量と位置。
- 電気設備。
- 照明。
- 空調。
- 給排水設備。
- 関連する防火工事。
- 残存する不具合。
残っている問題は、すべてリスト化し、是正し、最終検収の前に再確認する必要があります。
プロジェクトによっては、引き渡し書類一式に、竣工図、機器関連書類、取扱説明書、保証情報、仕上げ表が含まれる場合があります。
引き渡しが完了すると、企業はIT設備の設置、運用のセットアップ、従業員の移転に進むことができます。
オフィス内装工事には、通常どのような関係者が関わりますか?
オフィスの内装工事プロジェクトには、企業と内装施工業者以外にも、多くの関係者が関わることが一般的です。
プロジェクトによって異なりますが、関係者には次のようなものが含まれます。
- オフィスのテナント。
- 内装デザインコンサルタント。
- 元請業者または内装工事業者。
- MEP(機械・電気・衛生設備)業者。
- 防火設備業者。
- IT業者。
- 家具サプライヤー。
- ビル管理会社。
- 家主またはビルオーナー。
- 商業不動産アドバイザー。
最初に責任範囲を明確に定めておくことで、各関係者が「他の誰かの担当だろう」と考え、ある作業が見落とされるという漏れのリスクを減らせます。
例えば、データネットワークは、執務席のレイアウト、電気配線のルート、サーバールームの要件、IT事業者と関連しています。IT業者がプロジェクトの完了間近になって初めて参画すると、追加の配線工事が、すでに仕上がった部分に影響を及ぼす可能性があります。

オフィス内装工事を始める前に、企業は何を確認すべきですか?
詳細設計に入る前に、企業は広さやレイアウトだけに注目するのではなく、賃借スペースの技術的・運用上の条件を確認する必要があります。
主な確認項目は次のとおりです。
- 引き渡し状態が、スケルトン(ベアシェル)、ウォームシェル、または内装済みのいずれであるか。
- 既存の空調設備。
- 電気容量。
- 防火設備。
- 天井高。
- 技術的な接続要件。
- 使用できる資材の制限。
- 許可されている工事時間。
- 貨物用エレベーターの利用規則。
- 内装工事に関連する費用。
- 工事保証金(デポジット)。
- 図面の承認手続き。
- 賃貸借契約終了時の原状回復義務。
これらの条件は、設計方針や必要な投資額に直接影響します。
天井、床、MEP設備がすでに使用可能な状態のスペースと、スケルトン状態のオフィスとでは、内装工事の範囲が大きく異なります。
オフィスの内装設計・内装工事にはどのくらいの期間がかかりますか?
すべてのプロジェクトに当てはまる単一のスケジュールはありません。
実際の期間は、次のような要因によって左右されます。
- オフィスの広さ。
- デザインの複雑さ。
- 現在の引き渡し状態。
- 設備工事の範囲。
- 社内の承認プロセス。
- ビルの内装工事承認プロセス。
- 家具の製作リードタイム。
- 資材調達のリードタイム。
- 許可されている工事時間。
- 防火設備およびその他の技術的要件。
参考にした元の資料によると、中規模のプロジェクトでは6~12週間程度、100平方メートル未満のオフィスでは4~6週間程度、300平方メートルを超えるプロジェクトやより複雑な要件のあるプロジェクトでは3~6か月かかる場合があります。
⚠️ これらの期間はあくまで一般的な目安として捉え、実際のプロジェクト範囲、現場の状況、ビルの要件に基づいて確認する必要があります。
オフィス移転を計画している企業は、オフィス探し、賃貸借条件の交渉、社内承認、IT環境の構築、移転計画に必要な期間も考慮に入れる必要があります。内装工事は、移転スケジュール全体のごく一部にすぎません。
施工中にデザインを変更することはできますか?
可能ですが、影響の大きさは変更を行う時期によって異なります。
早い段階であれば、塗装の色や一部の仕上げ材の変更は、比較的容易に行えます。
これに対して、設備がすでに設置された後に、部屋の位置、間仕切り、スペースの用途を変更する場合は、次の項目の修正が必要になることがあります。
- 天井システム。
- 照明。
- 空調。
- スプリンクラー。
- 火災報知設備。
- 電源コンセント。
- データ設備。
- 床。
- すでに製作中の造作家具。
このため、企業は施工開始前に機能的なレイアウトを確定させることを目指すべきです。
変更が必要な場合は、承認する前に、変更の範囲、追加コスト、スケジュールへの影響の3点を確認する必要があります。
施工中にはどのような追加費用が発生する可能性がありますか?
プロジェクトの範囲が当初の計画と異なる場合、実際の内装工事費用は変動することがあります。
一般的な原因は次のとおりです。
- 承認後のデザイン変更。
- 現場の実際の状況が、当初の図書と異なっていたこと。
- 資材の変更。
- 追加の設備工事。
- 家具の再製作。
- 追加の運搬または保管。
- 時間外の工事。
- ビル管理会社やその他の関係者からの追加要件。
- 工期の延長。
そのため、内装工事の予算を検討する際には、家具や内装工事の単価だけを比較するのではなく、設計、施工、設備システム、ビル関連費用の全体の範囲を考慮する必要があります。
RSQUAREは、新しいオフィスを準備する企業をどのように支援できますか?
内装設計・施工は通常、オフィスが決定した後に行われますが、内装工事に影響する多くの要因は、オフィス探しや賃貸借条件の交渉の段階ですでに決まっています。
引き渡し状態、設備容量、内装工事の規則、許可されている工事時間、原状回復義務は、いずれも予算や、新オフィスが稼働を開始できる日に影響します。
オフィス探しの過程で、RSQUAREは、面積の要件、予算、立地、実際の現場状況に基づいて、企業が選択肢を比較できるよう支援しています。契約締結前に内装工事に関連する要素を確認しておくことで、企業はトータルの入居コストをより確かな根拠で評価し、移転スケジュールを計画できるようになります。
まとめ
オフィスの内装工事プロジェクトは、3Dレンダリングから始まるわけではなく、家具を設置した時点で終わるわけでもありません。
要件の定義、現地調査、スペースプランニングから、設備の調整、最終検査に至るまで、各段階は次の段階に影響を及ぼします。プロセスの後半で下された判断は、複数の工事パッケージにわたる変更を引き起こす可能性が高くなります。
移転を準備している企業にとっては、物件を評価する段階で内装工事の条件を確認しておくことで、賃貸契約、設計、施工、入居のスケジュールを同じ運用開始目標日に合わせやすくなります。